太陽みたいな真っ赤なトマト楽しみに待つ人がいる限り、届けるのが使命

厚別地区組合員

藤原 泰市さん

厚別川のほとりに並ぶ5棟のハウス。その中は猛暑で、背丈を超える高さの緑が奥まで広がり、大きなトマトが赤く色づいていた。

「これでもハウスに遮光ネットを張っているから、50%熱をカット出来ているんだよ。これが無いと葉焼けしちゃう。ネットも最近は一人で張るのが大変だから弟に手伝ってもらっているんだ。助かるよ」

晴天の下、藤原泰市さん(厚別地区組合員)がテキパキと収穫作業を進める。15歳から農業を始め今年で70年目。中でもトマトの栽培歴は35年にもなり、その長い年月には、並々ならぬ努力と消費者への想いが詰まっている。

一般的にトマトは青いうちに収穫して追熟させるが、真っ赤に完熟するまで育てるのが藤原さんのこだわり。収穫時には色形を一瞬で見極め、躊躇なく軸にハサミを入れる。トマトを傷つけないために長い軸はカットし、あっという間にカゴが真っ赤なトマトでいっぱいになった。

「完熟トマトは手間がかかるけど、待ってくれている人がいるから、そこはこだわりたい」

軽快に働く姿が印象的な藤原さんだが、「1人で続けるのは難しくなってきた」と言葉を漏らす。

「家族の手助けがあるから続けられている。前は多少の無理もきいたけど85才になって頑張り過ぎたら疲れが残るんだよね。でも農業は私の『使命』だからできるところまで頑張りたいと思っているよ」

楽しみに待つ消費者のため真摯に取り組む姿勢から、藤原さんの信念が満ち溢れていた。