清田区有明、永光洋明さん(豊平地区組合員)の鶏舎では、三千羽の鶏が飼育され、一日二千個もの卵が採卵されている。飼育するのは、茶色い羽根で赤玉卵を産むボリスブラウン。欧米では一般的になりつつあるアニマルウェルフェア(動物福祉)にも取り組んでいる。
「従来のケージ飼いに比べたら飼育数は少ないですが、家畜にも感受性があると捉え、鶏本来の習性を大切にした雄雌混合の平飼いにしています。元気いっぱい自由に走りまわるのでストレスが少なく、健康で病気にもかかりづらい。品質の良い卵を産んでくれますよ」
鳥インフルエンザ予防のため鶏舎内の取材は叶わなかったが、自由に動き回る鶏の姿が目に浮かんだ。
「エサは北海道産をメインに国産が90%以上。遺伝子組み換え作物や抗生物質は使用せずに自家配合飼料を与えています。鶏が口にするものは、卵を通して人が口にする。だからこそ、鶏たちにも安全安心なものを食べさせたいですね」
先祖代々野菜農家だった両親から勧められ、養鶏業を始めた永光さん。こだわり抜かれた卵は自身が営むスイーツ店「コッコテラス」でも使用し、商品は添加物や香料などを使わず素材本来の味を活かす。
「お菓子作りの技術うんぬんよりも、生産者だから作れる商品を提供したい。今後の目標は札幌市内に2号店を出店し、よりたくさんの人にうちの卵やスイーツを食べてもらいたいですね」
鶏と人の健康に配慮し安全安心を追求した卵を使った美味しいスイーツ。一口食べればきっと幸せな気持ちで満たされるはずだ。