家族で支え合い、“札玉ブランド”を守り伝える

篠路地区組合員

澤田 喜幸さん

北区篠路町、澤田喜幸さん(篠路地区組合員)の倉庫では、ゴロゴロと玉ねぎが転がる音がこだまし、家族4人が揃って選果作業を行なっていた。

「選果センターに持ち込む前に各生産者が選果をするんだよ。正品を見極めて持ち込まないとね。今年は2Lサイズもあるけど、全体的に小玉傾向。雨が少なくて根付きが悪かったのが原因かな。こうしたら良かったかと毎年振り返るけど、農業に完璧はないね」

この日選果していた“札幌黄”は、F1種よりも傷みや規格外品が増える傾向にあり、特に手間がかかるが、澤田さんの思い入れが強い品種のひとつ。

「札幌黄は連作すると病気が増えるから、その対策なんかも必要なんだよね。本当はもう少し面積を増やしたいけれど、今の労力では限界がある。札幌黄を残そうと頑張っている若手生産者もいるから、私も玉ねぎ農家や畑を守るために作り続けていきたいね」

5JA合併当時、約70軒あった篠路地区の玉ねぎ農家は20数軒にまで減少。6棟のJA大倉庫いっぱいに集まっていた玉ねぎは、今では2棟でも余裕があるほどだという。担い手不足が懸念される中、澤田さんのお宅では息子さん、娘さんも共に農作業に励み、家族が支え合いながら玉ねぎ栽培を続ける。

「玉ねぎ農家を一から始めようと思ったら多くの初期投資が必要で難しい部分がある。私は畑を残してくれた親に感謝しているし、子ども達が跡を継いでくれることは本当に嬉しく思っているよ」

脈々と受け継がれてきた玉ねぎ栽培は、今また親から子へと受け継がれ、今年も札幌の玉ねぎ“札玉”は消費者のもとへと届けられる。