雪が降りしきる氷点下4℃の極寒の中、西区西野の山末清さん・学さん(西町地区組合員)親子のハウスでは、大根菜の収穫が行なわれていた。加温ハウスの中はぽかぽかと暖かく、外とはまるで別世界。しかしこの温度を保つための燃料は価格の高騰が続いており、負担は大きいと学さんは話す。
「熱を逃がさないようにハウスのビニールを三重にしているけれど冬の農業は灯油代がかさむ。大雪になると除雪にも時間がかかって収穫が遅れちゃうし大変なんだよ。それでも作り続けるのは、食べたいと待ってくれている人がいるからかな」
青々と育った大根菜を、家族4人で収穫。葉の一枚一枚についた水滴や土をきれいに拭き取り、根を切りそろえて袋詰めという丁寧な作業につい見入ってしまう。
「土が付いているとお客さんが嫌がるから必ず拭き取って、形も揃える。冬は苦労も多いけど、虫がいなくて農薬をほぼ使わずに済むし、温度管理することで収穫時期を調整できるのは良いところかな」
冬に稼働するハウスは9棟。管理は徹底しているが、60年以上農業を続けている清さんでも百点だったことはないという。
「作物は正直。手抜きをしたらそれだけの物しかできないし、失敗したと思った時にはもう遅い。同じ失敗をしないように振り返るけど、農業はいつも一年生。上には上があるんだよね」
市内でも数少ない真冬のハウス栽培に取り組み、技術を磨く清さんと学さん。冬の大根菜の出荷は、4月頃まで続く。