豊平区中の島、ミュンヘン大橋と目と鼻の先。住宅や商業施設が多く立ち並ぶこの場所で、なめこの栽培が行なわれている。野菜や花の苗が所狭しと並ぶハウスを訪ねると、細貝陽子さん(平岸地区組合員)が元気いっぱいの明るい笑顔で迎えてくれた。“花ときのこのほそがい”として、直売イベントでは知る人ぞ知る生産者の一人だ。
「自宅の裏の林で、なめこの原木栽培をしているの。90㎝くらいの原木が1000本くらいあるかな。今の時期は、植菌って言って、原木に穴を開けて菌を埋め込む作業をするんだよね」
なめこの原木栽培は、この春に植菌すると初めて収穫できるのは2~3年後の10月。原木の太さによって違いはあるが、3~6年は収穫できるという。春に植菌するのは、10月から3月までに伐採した木を原木にする必要があるからだ。
「きのこは原木の中に菌が満ちると出てくる。木の水分で菌が増えていくイメージかな。収穫できる数が少なくなれば原木の役目は終わるけど、その後は最高の肥料になるの。すごくエコでしょう?」
植菌後、湿度が保たれていれば収穫まで手間はかからないというなめこ栽培。他の野菜や花の農作業と両立できることも細貝さんにとっては大きなメリットだ。
「原木栽培は、味と香りが全然違うの。お味噌汁で食べると絶品!こんなに美味しいものが作れるっていうことを色んな人にもっと知ってもらいたいな」
秋には、つやつやと光り輝く大ぶりのなめこが一斉に顔を出す。見る人皆が歓声を上げるという光景を是非また見に訪れたい。