准組合員コンベンション2022「農と食をもっと身近に」を開催しました!

11月23日、准組合員を対象とした「准組合員コンベンション2022 農と食をもっと身近に」を札幌グランドホテル(札幌市中央区)で開催し、JAさっぽろの准組合員200人が一堂に会しました。

このコンベンションは准組合員に対して生活に欠かせない「食」と食を生み出す「農」をもっと身近に感じてもらい、札幌の農業を応援してもらおうとする取り組みで、2017年度に初開催。新型コロナウイルス感染拡大の影響で昨年・一昨年は開催を見合わせており、今年度は3年ぶりの開催となりました。今回の参加者は、准組合員向けに発行するコミュニティ情報誌「虹のしずく」や当JAホームページなどを通じて募集し、100組200名の定員に対し、1450組からご応募いただきました。

今回は、「“食”すること“学ぶ”ことで想いを紡ぐ」をコンセプトに、札幌グランドホテル伊藤博之総料理長の講演、伊藤総料理長と当JA管内の生産者によるパネルディスカッションの2部構成で展開。今回ご協力いただいた札幌グランドホテルには、過去にも当JAの取り組みである「札幌野菜パン製作」や「モアミルクプロジェクト(生乳廃棄回避のための対策)」にご協力いただいています。

第1部の伊藤総理長の講演では、これまでの当JAとの取り組みの中で行った生産者の圃場視察の際に感じたことや地産地消、フードロスの取り組みについてお話しいただきました。また、講演中には、札幌産野菜を使ってこの日のために特別に作られた軽食を提供。参加者は、札幌伝統野菜の「札幌黄」玉ねぎを使ったオニオングラタンスープと札幌伝統野菜「札幌白ゴボウ」・南区滝野産メークインを使ったパンに舌鼓を打ちました。

軽食メニュー
札幌黄と小林牧場のチーズを使用した「オニオングラタンスープ」、札幌の農畜産物を使用した2種類のパン(札幌白ゴボウ・南区滝野産メークイン)

伊藤総料理長のこだわりポイント

本日のメインであるオニオングラタンスープは、札幌黄を6時間じっくりと煮込み、小林牧場のブルーチーズとラクレットチーズを使用しコクのあるスープに仕上げました。またこのスープに合うパンを2種類用意しています。札幌白ゴボウのパンは、パン生地の柔らかさとゴボウの歯ごたえのバランスを整えるのが一番苦労した点で、味付けにしょうゆを使うなどやや和風に仕上げています。南区滝野産のメークインを使ったパンは、ジャーマンポテトをイメージ。塩ゆでしたメークインを粒マスタードとともにロールパンの生地に練り込んでしっとりと焼き上げました。

第2部では、伊藤総料理長と同JA管内の玉ねぎ生産者、酪農を営む生産者によるパネルディスカッションを実施。「生産者が自身の農場で力を入れていること」や「これからの夢や目標」などについて意見を交わし、来場者はここでしか聞けない話に熱心に耳を傾けていました。


玉ねぎを生産する湯浅富夫さん

「良質な土は農薬や肥料を減らすことができ、より安全安心な野菜を消費者へ届けることに繋がるため土づくりには最もこだわっています。札幌黄は日本で初めて栽培に成功し受け継がれてきた品種なので、私自身思い入れが強く、新しい技術や情報を駆使しながらこれからも守っていきたい玉ねぎです。私の目標は就農当時から変わらず、都市型農業の確立です。大消費地札幌において、一番鮮度が高くておいしい野菜を届けられるのは札幌の農家だと思います。本当の美味しさを届けるためにこれからも頑張りますので、皆さんには札幌産の野菜を積極的に食べてほしいと思っています」


酪農を営む小林智行さん(有)小林牧場 専務

「小林牧場では牛の主食は全て自家産でまかなっており、やはり土づくりが重要です。牛舎から排出される糞尿は微生物の働きでメタン発酵させ、発電設備の燃料となるバイオガス、牧草畑などの養分となる液肥、再生敷料となる繊維質の資材に分離します。牧場内で土から餌、餌から牛、牛からまた土へ戻るという循環型酪農に取り組んでおり、全てが健康な牛をつくることに繋がっています。今後も牛の素晴らしさを多くの人に伝え、後継者不足の波に呑まれぬよう酪農を志す若者の手助けをしていきたいと考えています。生産者は消費者のおいしいという言葉が一番の喜びですのでたくさん飲んでもらえたら嬉しいです」


札幌グランドホテル伊藤博之総料理長

「食材にはなんでも旬があります。牛乳も毎日搾乳は行われていますが、季節によって味わいが違うんですね。今はスーパーに行けば年中同じものが手に入るので旬がわかりにくいですが、地産地消にこだわることは旬の理解にも繋がります。私たち料理人は生産者の皆さんがいなければ料理を作ることができません。湯浅さん、小林さんをはじめ札幌の生産者のもとを訪れ、たくさんのお話しを伺ってきました。生産者が農畜産物に込めた思いを引き継ぎ、料理人がうま味を引き出してお客様へご提供する。料理を食べた全ての人が笑顔になれる美味しい料理をこれからも作り続けていきたいと思っています」